「諸行無常」と「八風」は、仏教の教えの中でも重要な概念です。
これらは、物事が変化することや揺らぎやすいことを受け入れ、柔軟に対応することが大切であるという考え方を示しています。
この考え方は、仕事や人間関係をはじめとするあらゆる面で応用できるものであり、困難な状況に対しても冷静かつ適切なアプローチを採用することができるようになるためには、重要なものです。
本記事では、この「諸行無常」と「八風」の教えを応用して、面倒な仕事や人間関係を乗り越える方法について探求していきます。
諸行無常とは?
八つの風とは?
諸行無常・八風とは
諸行無常とは
仏教には、「諸行無常」という言葉があります。
諸行無常とは、この世の中の全てのものが常に移ろい、一瞬たりとも同じ状態が続くことはないということです。
一瞬一瞬、変化している!
人間関係も例外ではありません。友人との関係も、様々に変化しながら動いていくものです。
しかし、時に友人の行為が迷惑に感じることがあります。
親切心からしてくれていることは分かるけれど、どうにも鬱陶しいと感じることもあります。
そんな時、一度距離を置いて疎遠にしてしまうという対応も考えられます。
それにより、その友人から迷惑を被ることはなくなるでしょう。しかし、同時に友人を失うことにもなります。
このようなことを繰り返していくと、いつか周囲に友達と呼べる存在がいなくなってしまいます。
ですから、できるだけ寛容な気持ちで、友人との関係を維持することが大切だと考えます。
ただし、時には適切な距離感を保つことも必要です。
祇園精舎の鐘の声
諸行無常の響きあり
沙羅双樹の花の色
盛者必衰の理をあらわす
この詩は、平家物語の冒頭の言葉です。
鐘の音と沙羅双樹(サラソウジュ)の花の美しさに感銘を受け、人生のはかなさと、常に変化し続ける世界の中で、盛者も必ず衰えることを表現しています。
釈迦は、「沙羅(さら)」の木の下で人生最期のときを迎えたと伝えられています。
八風とは
禅語には、「八風吹けども動ぜず」という言葉があります。
これは不動心に似た意味を持つ言葉で、心が揺らがないようにすることを指す仏教用語です。
つまり、外的な刺激や状況に左右されず、内面的な平静を保ち続けることです。
- 「喜び」の感情を素直に受け止め、心をニュートラルに戻す
- 「怒り」の感情を素直に受け止め、心をニュートラルに戻す
- 「悲しみ」の感情を素直に受け止め、心をニュートラルに戻す
- 「憎しみ」の感情を素直に受け止め、心をニュートラルに戻す
嬉しいことがあったら、浮かれ過ぎたりせずに心を落ち着かせる。
沸いてきた感情を受け入れたら「心の中心」に戻すことが大切なのです。
禅の教えに基づくこの考え方は、私たちが日常の中で経験する様々な感情に対処するための有効な方法となります。
不動心は、困難な状況に直面したときにも冷静な判断を下すことができるため、日常生活においても重要な態度であるとされています。
私たちは、大小、善悪と様々な風に吹かれながら生きています。
その風がどんなものであるかを観察することで、少し落ち着きを取り戻せることもあります。
禅には「八風」という言葉があります。
- 利益
- 衰退
- 陰口
- 名誉
- 賞賛
- 悪口
- 苦
- 楽
この「八つの風」とは、人の心を揺さぶりやすい以下の8つの事柄を指し、4つの良い風と4つの悪い風のことを指します。
良い風:利・誉・称・楽
「利」とは、自分にとって役に立つものを手に入れることです。
「誉」とは、ひそかに讃えられることです。
「称」は、公に讃えられ、たくさんの人から褒められることを指します。
「楽」は、喜びや歓びを感じ、良い状況や運を手に入れて、心身ともに満足することです。
悪い風:衰・毀・譏・苦
「衰」とは、自分に損害や減少があることを指します。
「毀」とは、陰で悪く言われることを表します。
「譏」は、陽で批判や風刺を受け、周囲から誹謗中傷を受けることを意味します。
「苦」は、困難な状況に直面し、心身が苦しむことを表します。
いろんな風が吹いている
良い風のとき
良い風が吹けば、成功や褒められることなどによって楽しい気持ちになります。
逆に、失敗や叱責を受けたり、悪い風が吹いたりすると、不快な感情を抱くことになります。
人間関係も同様で、時々我々は8つの風にさらされます。
友情があるときは、良い風が吹いていると言えますが、迷惑するときは悪い風が吹いていると感じるでしょう。
悪い風のとき
問題は、悪い風の中にいるときです。どんな風が吹いても、気持ちを不安定にさせることはありません。
むしろ、どっしりと構えて、落ち着いた心で臨むことが大切です。
さらに、全ての風を楽しむ心の広さとしなやかさを持ちましょう。
例えば、迷惑だと感じている場合でも、「これも新しい経験であり、得がたい経験である」と捉えることができます。
人生は経験の積み重ねであり、無駄な経験はありません。友人の違った面を受け入れることで、より深く相手を知ることができます。
面倒な仕事や人間関係を乗り越える方法
諸行無常と八風の教えを瞑想などの実践を通して、日常生活に取り入れることで、心の平静さやストレス耐性を高めることができます。
これにより、面倒な仕事や人間関係に対するストレスやプレッシャーにより、心が乱れることを防ぐことができます。
諸行無常と八風で人生が豊かに!
常に変化していることを受け入れる
世の中や人生が常に変化していることを認識し、その変化を受け入れましょう。
何かを達成したと思ったら、次の課題が待っていたり、思っていた通りに事が進まないことがあったりするように、人生においては常に変化が起こります。
そして、その変化を受け入れることができるかどうかが、人生において大きな違いを生み出すこともあります。
変化を受け入れることは、自分自身が持っている過去の経験や知識を上手に活用しながら、新しい状況に対応するための柔軟性や創造性を身につけることに繋がります。
また、変化を恐れずに受け入れることで、新たなチャンスや成長の機会を見逃すことがなくなります。
ただし、常に変化していることを受け入れるということは、自分自身がコントロールできないことを受け入れることも含まれます。
つまり、予想外の出来事や困難に遭遇した場合でも、そこから学び、成長することができるように、前向きな姿勢を持つことが重要です。
自分がコントロールできることに集中
自分自身が直接的に影響を与えることができることに集中することを意味します。
つまり、自分ができること、自分が変えることができることに注力することです。
例えば、仕事で予想外の問題が発生した場合、その問題を自分自身が直接解決できる範囲内で取り組むことができます。
そこで、「自分がコントロールできること」とは、その問題に対して自分自身が取り組むことができること、自分自身が改善できることを見極め、そこにフォーカスすることを指します。
逆に、「自分がコントロールできないこと」に対して、不安やストレスを感じることがありますが、その場合は、それに集中することではなく、自分ができることに集中することが重要です。
このように、自分がコントロールできることに集中することで、不確定性や変化に対して柔軟に対処することができます。
そして、自分自身が成長することにも繋がります。
外部からの評価に左右されず内面を磨く
自分自身の内面に焦点を当てましょう。
自分が望む人生を生きるためのスキルや資質を養い、内面的な豊かさを追求することが大切です。
外部からの評価に左右されずに、自分自身が満足する人生を送るためには、自分自身の内面を深く理解し、自分自身を受け入れることが大切です。
また、自分自身に嘘をつかず、自分自身に向き合うことが重要です。これは、自分自身の弱点や課題を認め、それに向き合うことができるようになることを意味します。
内面を磨くことは、外的な成功や承認を求めることよりも、自分自身を成長させ、自分自身が本当に望む人生を生きることにつながることが多いです。内面的な豊かさを追求することで、自分自身の価値観や人生の意味について深く考えることができ、自分自身が望む人生を生きるための方向性を見出すことができます。
自分自身に投資し内面的な成長を追求することは人生を豊かにするために必要不可欠です。
まとめ
最後までお読みいただきありがとうございました。